よくわかるマンション大規模修繕SUN

ISSUE 02 修繕委員のABC

マンガでわかる マンション大規模修繕 「CAPTAIN SUNLIGHT vol.02」

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管理組合修繕委員会の違い

管理組合とはなんでしょう?

マンションの管理は、1つの建物に複数の所有者がおり、さらに専有部分と共用部分の2つにわかれているので、一戸建てのように単純ではありません。
管理組合とは、その状況を踏まえて制定された「建物の区分所有等に関する法律」(通称マンション法)を根拠とした、マンションの所有者全員参加による敷地と共用部分の管理のための組織です。
管理組合では、重要事項を決議する「総会」を開催します。ただ、日常的な管理業務についてその都度総会を開くのは、組合員にとって大きな負担となります。そこで日常的な管理は、組合員の中から理事を選び一定の範囲で業務を任せます。その業務を行う機関が理事会です。
理事会は「管理規約」というルールに沿って運営され、通常は、理事長、副理事長、会計の3役を定めることが原則となっています。

修繕委員会とはどんな組織?

理事会と修繕委員会の業務分担

管理組合の理事は交代制で1年毎に代わることがほとんどです。一方で大規模修繕は、準備段階から竣工まで2~3年かかります。長期にわたる大規模修繕を進めていくには、準備段階からの経緯や過程を汲み取り、竣工まで一貫した方針を保つ必要があります。そうでなくても理事は、通常の理事業務だけでも忙しいものです。このような理由から設置するのが、大規模修繕を専門で担当する組合員による組織「修繕委員会」です。最近は大規模修繕を経験した管理組合が増えてきて、工事の重要性が広く知れ渡ってきたことなどから、修繕委員会を設置して大規模修繕工事に取り組むのが主流になっています。なお、修繕委員会は理事会から依頼を受けて、大規模修繕に関する調査・検討を行ったり、進め方を提案する「諮問(しもん)機関」という位置づけで設置されます。

修繕委員会を設置するメリットは?

修繕委員会を設置するもっとも大きなメリットは、計画から竣工まで一般的に2~3年を要する大規模修繕工事を専任かつメンバーの交代なしで進められることです。理事会で対応する場合、1年で解散してしまうため、取り組みの中断や引き継ぎに手間が生じてしまいます。
委員会を設置すること、委員会が大規模修繕の取り組みに専念することにより、以下のようなメリットが生まれます。

  • 専念することにより、マンションの現状をより深く把握できる
  • 深い把握から長期的な課題事項を発見できる
  • 過去の履歴やノウハウが蓄積しやすい
  • マンションの価値を維持していくために必要な取り組みを、一貫性をもって進めていくことができる

数十年に渡ってマンションを維持していく上では、継続的にマンションの状況をチェックし、一貫した方針のもとで将来を見据えて活動していく必要があります。
このような観点では、修繕委員会は大規模修繕のときだけではなく平時から設置しておくべきという意見もあり、一部の先進的なマンションでは常設化している例もあります。

修繕委員の理想的な構成と適任者の要件は?

修繕委員の人数に関して、「組合員の○割」といった決まりはありません。ただし奇数であれば、多数決を取るときに意見がわかれてなかなか決まらない、といったことが起こりません。また、あまり人数が多すぎると意見がまとまりにくくなるので、マンションの規模に関わらず5人か7人が無難といえます。
建築などの専門知識がある人が入るといいという話もありますが、こだわる必要はありません。逆に声が大きい人がいると自由な議論になりにくいうえに、「あの人は業者と利害関係があるらしい」といった噂が立つ可能性もあります。
できれば入った方がいい人は、管理組合の理事です。理事がいれば理事会との意見交換がスムーズになるはずです。

理事会のおもな業務
理事会のおもな業務

SUNシリーズ一覧

  • ISSUE 01 大規模修繕を知る
  • ISSUE 02 修繕委員のABC
  • ISSUE 03 パートナー選びの基礎知識
  • ISSUE 04 コンサル導入の手引き
  • ISSUE 05 修繕計画の予習帳
  • ISSUE 06 施工会社の選び方