よくわかるマンション大規模修繕SUN

ISSUE 01 大規模修繕を知る

マンション大規模修繕 用語集

《VDSL》
Very high bit rate Digital Subscriber Lineの略。マンションなどの集合住宅へ電話・インターネット用光ファイバーを導入する際に活用される高速通信方式。電話局から建物までは光ファイバーを導入し、建物内の通信には既存の電話回線を利用するので工事が容易といったメリットがある。
《アスファルト防水》
アスファルトを浸した合成繊維不織布を貼り重ねる防水工法。層数を変えることで防水性能や耐用年数を調整することが可能。
《アンケート調査》
建物調査・診断の前や大規模修繕の後に行う居住者に対するアンケート調査。バルコニーの雨漏りや外壁のひびなど、普段の生活の中で気づいた不具合などを尋ねる。
《ウレタン塗膜防水》
液体状のウレタン樹脂を塗り付ける防水工法。複雑な形状でも比較的容易に施工でき、つなぎ目なく仕上がるので美観に優れるといった特徴がある。
《シート防水》
塩ビシートや合成ゴムシートを貼り付ける防水工法。太陽光や熱に強く、比較的施工も容易。
《バリアフリー》
高齢者や障害者にとって安全で住みやすい社会を作るために、障害・障壁を取り除こうという概念。道路や廊下の段差をなくす、階段に手すりを設置するといったことを指す。
《フラット35》
民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している長期固定金利住宅ローン。銀行など一般的な金融機関より、35年といった長期の住宅ローン金利が低く、利用者が多い。
《マンションのライフサイクル》
マンションの新築時から寿命を迎えて解体するまでのこと。その期間は、日常のメンテナンスや定期的な大規模修繕によって大きく変化する。
《メーターボックス》
マンションなど集合住宅で電気、ガス、水道などのメーターを集中させて検針を容易にしたボックス。
《ロープ》
エレベーターのかご(人が乗る部分)につながり、上下させるステンレス鋼製などのロープ。
《足場》
高所でも作業がしやすいように、鉄パイプなどで建物全体を囲むように組んだ構造物のこと。
《改修によるマンション再生手法に関するマニュアル》
マンションの長寿命化を図る上で重要となる改修などについて、国土交通省が作成したマニュアル。インターネットで入手可能。 ※1
《瑕疵(かし)》
雨漏りや外壁タイルの剥がれといった物件の欠陥。新築マンションに対しては、住宅品質確保促進法(品確法)によって引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が定められ、基本構造部分の瑕疵は保証修繕の対象となる。基本構造部分とは基礎や柱、梁など建物を支えている部分と、屋根や窓など雨水の浸入を防いでいる部分。外壁タイルは含まれない。
《管理規約》
管理組合のルール。管理規約の制定、改定、廃止には区分所有者及び議決権の4分の3以上の多数議決が必要となる。議決権とは専有部分の床面積の割合のこと。一人で複数の住戸(専有部分)を所有する場合は、それだけ多い議決権を持つ。
《管理組合》
マンションの建物、敷地、設備の管理を行うために区分所有者で構成する団体。区分所有者の全員が組合員となる。
《機械式駐車場》
上下する昇降機などによって機械的に車を出し入れする立体駐車場。
《給排水管》
水道水を供給する管(給水管)と汚水、雑排水、雨水などを排除する管(排水管)の総称。
《共用部分》
マンション内で、個人単独では所有できない部分。外壁や屋上、廊下、エレベーター、バルコニーなど。
《建築材料》
建築に使用される材料の総称。略して建材ともいう。構造材の柱から壁紙、床材のフローリングまでさまざまなものがある。
《玄関枠》
玄関ドアを納めるために、壁内に設けた鉄製などの枠。
《高圧受電設備(キュービクル)》
発電所から変電所を通して送られてくる6600ボルトの電気を、100ボルトや200ボルトに変圧する受電設備を収めた設備。マンションなど大規模な建物では、キュービクルを設置し、安い電気単価で大量の電気を使用できる契約としているケースが多い。
《修繕積立金》
マンション購入者が将来の大規模修繕のために、長期修繕計画に基づいて毎月積み立てるもの。一般的には管理組合が管理する。管理費や共益費とは異なる。
《重要事項説明書》
一般的なマンションの売買などの不動産取引の際は、必ず宅地建物取引士から買主へ重要事項説明を行わなければならない。その際の説明内容を記載した書面を重要事項説明書という。同説明書にはどのような権利関係にあるのか、建物の利用、管理、修繕などに関してどのようなルールがあるのかなどが書かれている。
《竣工》
工事が終了すること。
《竣工図書》
マンションなどの建築物を建設する際に必要な図面や仕様書の総称。工事請負契約や建築確認申請の際に必要なすべての書類を指す。
《仕様》
材料・製品・サービスが明確に満たさなければならない要求事項の集まり。大規模修繕においては、工事に使用する材料や、工事の方法、その結果として担保されるべき建物の性能や品質全般を指す。
《浸水(外壁部の鉄筋コンクリートに対する)》
鉄筋コンクリートを構成するコンクリートには、目に見えない微細な空隙が毛細管状に存在しており、この空隙に水が浸透することを「浸水」という。浸水が進行した場合、鉄筋コンクリート内の鉄筋部にさびが生じ、建物の耐震性を著しく損なう懸念がある。
《制御装置》
エレベーターの運転動作や速度を制御する装置。
《施工品質》
施工上の正確さ、誤差、精度など。たとえば壁を塗装する場合、塗膜が厚すぎるとコストアップにつながり、薄すぎると耐久性が低下する。その適正さなどを指す。個人の技量などで施工品質にはばらつきが出る場合がある。
《設備》
建物に備え付けられた機器、器具など。エレベーターから給排水管、インターフォンまでさまざまなものがある。
《専有部分》
マンション内で、所有者個人が独占的に利用できる部分。お住いのお部屋など。
《外階段》
建物の外側に設けた階段。日常の通路のほか、大型物の搬入や避難経路などに利用される。
《耐震性》
建物が地震に耐えられる度合。
《耐震ドア》
地震によってドアが変形し、室外に避難できなくなることがないように、ドアとドア枠の隙間を若干広くしてドアが変形しても開けられる、またはドアの中に脱出扉を設けているなど耐震性に優れたドア。
《大規模修繕》
マンションにおいて定期的に行う共用部分の大がかりな点検やお手入れ、修理のこと。一般的には12年前後の周期で行う。
《建物調査・診断》
建物や設備の劣化や損傷をチェックし、将来の影響を予測するための調査・診断。一般的にはコンサルタント会社や建築士事務所といった専門家が、竣工図書や日常のメンテナンス記録、アンケート結果などの書類のチェックと建物自体への目視などによる非破壊検査の2段階で行う。
《長期修繕計画作成ガイドライン》
国土交通省が策定した長期修繕計画を作成するためのガイドライン。管理組合が長期修繕計画について理解し、比較検討を容易にするため標準的な作成方法を公開している。インターネットで入手可能。 ※2
《長尺塩ビシート》
幅の広いロール状のプラスチックシートのこと。長いロール状なので広い床の仕上げ材に適しており、耐久性・耐摩耗性に優れている。
《定期点検》
工事した部分に不具合はないか引渡し後1年目、2年目といったように定期的に点検するアフターケアのこと。その周期、頻度は契約内容によって異なる。
《鉄筋コンクリート》
補強のため鉄筋(鉄製の棒)を埋め込んだコンクリート。コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引張り力に強いので両方の特性を生かした構造材となる。
《鉄筋》
コンクリートの引っ張り力を強化するために埋め込む鉄棒。
《塗装》
対象物に塗料を塗ったり吹きつけたりして塗膜をつくること。装飾・保護などの目的で行う。
《破壊検査》
外壁の塗膜やタイルを一部剥がして接着力を調べたり、コンクリートを採取して劣化状況を確認したりする検査。
《光ファイバー》
ガラスやプラスチックの細い繊維製の光を通す通信ケーブル。金属製のケーブルと比べて信号の減衰が少なく、超長距離でのデータ通信が可能。
《非破壊検査》
建物を壊さずに、目視などでその欠陥や劣化の状況を調べる検査。
《平置き駐車場》
一般的な戸建て住宅のように地上にある駐車場。ドライバーが自分で各スペースまで運転して駐車する。
《面格子》
防犯のため窓の外側に取り付ける金属製の格子。窓から人が入れないようにトイレや風呂場、マンションの共用廊下に面した小窓などに取り付ける。

本誌発行会社代表よりごあいさつ

代表取締役 会長 阿部 悠久子

株式会社太陽は、マンションの大規模修繕専門の施工会社として創業し、40年余りが経ちます。数十年前までは、大規模修繕工事は現状回復を目的としたものでした。
ですが、少子高齢化をはじめとした社会の変化とともに、単に建物の美観や安全性を回復するだけではなく、その機能や資産価値を高めるための工事として、ますます重要性が高まってきています。
にもかかわらず、新築しか経験のないゼネコンが建物診断をして修繕計画を立てたり、防水専門の下請け施工会社が工事を監理したり。今の大規模修繕業界は、未成熟ゆえに大きなリスクをお客さまに負わせてしまっています。
「どこをどのように手当てすれば、コンクリートの寿命が延びるのか」。
40余年もの長い現場経験からしか得られないこのノウハウを、もっとお客さまが安心できる工事の実現のために提供したい――。
お問い合わせをいただいたお客さまに、この冊子をお届けすることにしたのも、そんな理由からでした。
「よくわかる大規模修繕SUN」では、大規模修繕を進めていく上で必要な知識やポイントなどを、工事のフローに沿って全6冊にわたってまとめています。企業の目線ではなく、お客さまの目線に立って作り上げた、今までにないノウハウ集です。
理事・修繕委員の方の負担を少しでも軽くし、よりよい大規模修繕工事を推進するきっかけ になれば幸いです。

代表取締役 会長 阿部 悠久子

SUNシリーズ一覧

  • ISSUE 01 大規模修繕を知る
  • ISSUE 02 修繕委員のABC
  • ISSUE 03 パートナー選びの基礎知識
  • ISSUE 04 コンサル導入の手引き
  • ISSUE 05 修繕計画の予習帳
  • ISSUE 06 施工会社の選び方