よくわかるマンション大規模修繕SUN

ISSUE 06 施工会社の選び方

マンション大規模修繕 用語集

《ISO14001》
1996年9月に国際標準化機構(ISO)によって制定された「環境マネジメントに関する国際規格」のこと。企業・組織が環境に与えている影響を明確にし、悪い影響を与えているのであれば、それを解決させていくためのシステムを作り、財団法人日本適合性認定協会(JAB)などの機関へ申請する。同機関はその審査・登録を行う。ISO14001を取得すると、環境保全に貢献している企業・組織とみなされる。
《ISO9001》
製品やサービスの品質保証による顧客満足向上と品質維持の継続的な改善体制を認定する国際規格。全国に数十社ある審査機関が審査・登録を行う。
《コンプライアンス》
企業がその活動において法律や社会の常識に反することなく、公正・公平に業務遂行すること。最近は企業の不祥事に対して社会の目が厳しくなってきている。そのため、社員にコンプライアンスを徹底させる動きが目立つ。
《ゼネコン》
General Contractor(ゼネラルコントラクター)の略称。元請負業者として土木や建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者のこと。
《マンション管理新聞》
分譲マンション管理に関する専門紙。組合運営情報や維持管理情報、諸官公庁からのニュースなどを伝えている。毎月5日・15日・25日の月3回発行。タブロイド判で通常12ページ。
《安全管理》
具体的な安全管理の取り組みとしては朝礼での安全注意事項の共有、定期的な安全対策会議の開催、日々の安全パトロール、資材搬入・搬出口などでの誘導員配置、入居者からのご意見受付などがある。
《一括見積りサービス》
Webサイト上で複数の施工会社へ一括で見積り依頼をすることができるサービス。簡単な工事内容、マンションがあるエリアなどを入力するだけで、その工事に対応可能な施工会社から見積りを受け取ることができる。
《仮設計画図》
足場、仮設トイレ、事務所など工事後に撤去する仮設の設備の配置を記した図面。それらの配置によっては、通行がしにくくなったり、プライバシーが保てなくなることもあるので、事前によく確認する必要がある。
《各劣化部分の危険レベル》
タイル落下の可能性があるなど入居者や周辺住民の安全にかかわる部分を最優先とし、次に日常生活への支障がある、いずれ支障が出るといったように各劣化部分の危険レベルをランクづけしていく。
《監理者(工事請負契約における)》
工事の進行や施工品質をチェックする立場の者。契約内容によるが、コンサルタント会社が監理者となる場合が多い。
《館内公募》
組合員から推薦する施工会社を募集する方法。公募のように募集から応募締め切りまでの時間をかけることなく施工依頼先候補を見つけることができる。一方でオープンさ、公平さに関しては公募に劣る。
《議案書》
総会において審議され、議決をすべき事柄を記した書類。本書では施工会社を1社に絞り込むまでの経緯、各段階での判断の根拠、工事内容とスケジュールの概要、最終的な費用などを盛り込んだ書類を指す。
《業界標準(工事における)》
建設業界内で標準的に用いられる技術や規格、製品などのこと。施工会社によっては、現在当たり前となった技術、建設機械などを導入していないこともあるので、その遵守度を確認することは重要。
《経営の安定性》
経営の安定性は、自己資本を総資本で割った自己資本比率や付加価値率(粗利率)などさまざまな指標で確認する。経営が安定していないと、職人が給料をもらえないなどの理由で辞めてしまい、工事が遅れるといった事態になる可能性が高まる。
《経営規模等評価》
建設業者の経営状況、経営規模、技術力、その他の審査項目(社会性等)の客観事項を数値化する審査。公共工事を発注者から直接請け負う場合には、この審査を必ず受けなければならない。経営状況の分析は国土交通大臣の登録を受けた分析機関が行い、経営規模などの評価は国土交通大臣または都道府県知事が行う。
《建通新聞》
建設業界の専門紙。1952年創刊。「入札」「工事」「製品・工法紹介」「企業・団体」「法制度」「人物」など建設業界の情報を掲載している。地域密着型の新聞で東京版、神奈川版、静岡版、中部版、大阪版、岡山版、香川版、徳島版、高知版、愛媛版がある。
《現場説明会》
見積り依頼する施工会社へ、実際に現場を見せながら工事の仕様や留意点を説明する会。通常はコンサルタント会社が窓口となり、施工会社に対して工事仕様書など詳細な資料の配布とその説明、現場各所の案内が行われる。談合防止などの理由から基本的に複数回に分けて行うのが通例である。
《現場代理人》
工事現場を取り仕切る施工会社の人員。現場に常駐して、進行状況や施工品質をチェックする。また、住民からの質問やクレームの受付窓口となる。
《工事による騒音》
ほとんどの建築工事には騒音が伴う。大規模修繕の場合は、外壁に穴を開けるために使用するドリルなどで騒音が発生する。
《工事計画》
工事の目的、どの部分にどのような方法で工事を行うか、工期、工事の際の居住者への対応方法など工事の全体像を計画すること。
《工事仕様書》
施工会社向けに工事計画をまとめた書類。いわば「工事の教科書」。
《工事請負契約》
マンション管理組合と施工会社で締結する大規模修繕工事の完了を約束して、完了した仕事に対して報酬としてその対価を払うという契約。
《工事請負契約書》
工事請負契約の契約書。この契約書には、当事者それぞれの役割分担や責任範囲などを記した約款が添付される。一般的にはマンション管理組合理事長、施工会社、監理者(コンサルタント会社)の三者が署名・押印する。
《工事説明会》
施工会社が工事着工前に、組合員に向けて開催する説明会。工事のスケジュールや詳細内容、工事に伴う生活への影響、相談窓口などを説明し、質疑応答を行う。
《工程表》
工事のスケジュール表。いつ、どこの工事に着手して、何日までにどこまでやるのか、そして完成はいつなのかなどが工事項目ごとに記されている。
《構造躯体》
建物を構成する主要な構造体または骨組みのこと。マンションでは鉄筋コンクリート製の壁面や床など。木造住宅では木製の柱や梁など。
《最終見積り》
施工会社を1社に絞り込んでから工事請負契約締結までの打ち合わせで決まった材料や工法の変更、工事範囲の変更などを加味した見積り。この金額が工事請負契約書に記載されることになる。
《自治会》
マンションよりも広い範囲の町内や住宅街など同じ地域に暮らしている人たちが集まって、快適に生活できるように運営する組織のこと。自治会のほか町内会、区会、地域振興会といった呼び方もある。その活動はさまざまだが、たとえば地域の清掃・防犯活動や消防訓練、祭りなどを行う。通常、会長や副会長などの役員と班長によって運営される。運営費は会員である住民から集める。
《修繕箇所の保証期間》
大規模修繕工事に瑕疵(欠陥)があった場合、請負者は瑕疵担保責任を負う。民法では瑕疵担保責任の期間は、引渡しから1年間となっている。それ以降の保証は施工会社との契約内容による。一般的には鉄部塗装1~2年、外壁補修5年、屋上防水7~10年程度が目安。
《談合》
競争入札の際に、複数の入札参加者が前もって相談し、入札価格や落札業者などを決めておく不公正な話し合い。本来、業者同士を競争させて一番安い金額を提示した業者に依頼することが目的の入札が、談合で事前に工事の見積り金額を決めてしまえば、業者側が儲かるように費用を吊り上げられてしまう。
《地震による建物のゆがみ》
●外壁
外壁がゆがむと亀裂が生じ、雨水が侵入する可能性がある。
●建物と建物をつなぐ通路などの接合部
2棟以上の建物が通路などでつながっている場合、地震によってその接合部が損傷することがある。場合によっては、そのことで通路が落下する。
●玄関枠
地震によって玄関枠がゆがむと、ドアが開かずに外に出られないケースもある。
《追加工事》
工事開始後に確認できた劣化部分などに対する工事。たとえば、外壁の劣化は足場を組んで登ってみないとわからないことが多い。わかった時点で対応策を検討し、追加工事となることがある。
《電波障害》
テレビアンテナの付近に足場などの障害物が設置されると電波障害が生じることがある。具体的にはテレビが映りにくくなる。特にCSやBSなどの衛星放送は電波が弱いため、障害物の影響を受けやすい。対応策としては工事終了を待つ、アンテナを障害物の影響のない場所に移動させる等がある。
《物損》
物質的損害。物が壊れてしまうこと。本誌では現場代理人などがバルコニーの植木鉢やテレビアンテナ等を移動させることで壊してしまうことを指す。

私たちは太陽。大規模修繕工事の専門会社です。

当たり前のことを、当たり前に。

マンションの居住者さまにとって、大規模修繕は十数年に一度の出来事で、多くの方が住みながら行う工事に慣れていません。
施工を任される私たちにとっては当然のことでも、居住者さまにとっては不安や疑問を感じることばかりのはずです。
だから、つねにお客さまの目線に立って考え、伝え、対応する。
当たり前のことを、当たり前に。これが私たちの基本姿勢です。

40余年間、大規模修繕ひとすじ。

昭和50年に大規模修繕専門会社として設立。首都圏大規模修繕工事の施工実績は、これまでに2000棟以上。
近年はすべての工事を元請として受注し、品質を担保するために年間50棟のペースを守りながら、建物の長寿命化をお手伝いしています。

本誌発行会社代表よりごあいさつ

代表取締役 会長 阿部 悠久子

6冊にわたる「よくわかる大規模修繕 SUN」も、本号が最終号となります。
何よりもまず、ここまでお読みいただいた皆さまと、編集・制作にかかわっていただいた方々に感謝申し上げます。
高度成長を経てバブル経済を経験し、日本ではこの40〜50年の間に世界一の数量の建築物が建てられてきましたが、古くなると壊して新しく建て替えるという「スクラップ・アンド・ビルド」を繰り返してきました。
そのため、欧米各国と比べて圧倒的に住宅の寿命が短くなってしまっています。国土交通省のデータによると、英国が77年、米国が55年なのに対し、日本はわずか30年ほどしかないそうです。
日本人の平均寿命はその倍以上の84歳……。マンションを終の棲家と考える人が増えたいま、住宅の寿命も平均寿命を超えるべきではないでしょうか。
太陽という大規模修繕工事の専門会社を始めた昭和50年ごろは、建て替えが主流でした。当然、私たちのようにマンションや公団住宅の改修・修繕を専門とする施工会社も、それほど多くありませんでした。
いまでは当たり前のように使っている「大規模修繕工事」という言葉も、あまり一般的ではなかったように思います。
けれど、この業界はまだまだ未成熟です。技術やノウハウは個々の会社によってかなり偏りがありますし、品質にも天地ほどの差があります。
ですから、コンサルタントや施工会社の選定は、くれぐれも慎重に行っていただきたいのです。
そんな思いで編んだ「よくわかる大規模修繕 SUN」、少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
冊子の内容について少しでもわからないことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
大規模修繕工事の専門会社として、できるだけのことをさせていただきます。末筆ながら管理組合の皆さまのご健勝とご活躍を心からお祈りいたし、略儀ながら書中をもちましてごあいさつとさせていただきます。

代表取締役 会長 阿部 悠久子

SUNシリーズ一覧

  • ISSUE 01 大規模修繕を知る
  • ISSUE 02 修繕委員のABC
  • ISSUE 03 パートナー選びの基礎知識
  • ISSUE 04 コンサル導入の手引き
  • ISSUE 05 修繕計画の予習帳
  • ISSUE 06 施工会社の選び方