事業案内

ISSUE 02 修繕委員のABC

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修繕委員会の立ち上げ/運営マニュアル

立ち上げ段階

体制図
体制図
マンション管理規約および細則の内容確認

現在のマンション管理規約や細則で、修繕委員会もしくは専門委員会の設置を行ってよい内容となっているかを確認しましょう。
多くのマンションで使用されている、国土交通省提供の標準管理規約では「専門委員会を設置することができる」といった記述があり、こうした記述が管理規約に含まれていれば、理事会の裁量で修繕委員会を設置することができます。
上記のような記述が含まれていない場合は管理規約の改正を行わなくてはなりません。これには総会での4分の3以上の賛成を得る必要があります。
修繕委員会内の役職としては、委員長、副委員長、会計の3名を選抜するのが一般的です。この3名が定例会の司会進行や理事会とのパイプ役を担うことになります。これら3役の選抜方法などの委員会の運営ルールは、修繕委員会細則に定めます。既存の細則がない場合は、総会で過半数の賛成を得て新たに制定しましょう。
なお、本号のWeb付録は、修繕委員会細則の参考例です。ぜひご確認ください。

修繕委員会の設置手続き

修繕委員会は理事会の裁量で設置されます。委員会は、組織構造としてはあくまで理事会の諮問機関。コンサルタント会社の選定といった各種の実務や判断は委員会が担いますが、最終的な決定は理事会の責任で行う形になっています。理事会とそれぞれの役割で大規模修繕を円滑に進めていくために、つねにコミュニケーションをとっておきましょう。

委員の選任方法は?

委員会の設置が決定したら委員の募集をします。募集人数は多数決で意見が割れない奇数が一般的です。また、10人近くになると意見がまとまりにくくなるので、マンション規模にもよりますが、基本的には5人または7人がおすすめです。
しかし、実際にはなかなか集まらないケースが多いものです。そこで危機感を持つ人が中心となって、「この人なら協力してくれそう」という人に声をかけておくのも一つの方法です。理事会とのパイプ役が必要になるので現在の理事の中から1~2人、そして過去に理事として活躍した人、マンション内で面倒見がいいと評判の人に声をかけてみましょう。

初定例会ガイド

最初の定例会では、委員長、副委員長、会計の3役を互選で選出します。委員会内の役割分担が決まった後は、なぜ大規模修繕が必要なのかを委員全員の間で共有しておきましょう。この段階でしっかりと意識を共有しておくことが、竣工までの2~3年間に渡って委員会のモチベーションを維持していく礎になります。大規模修繕の必要性には次のようなものがありますが、詳しくは本誌1号にまとまっていますので、ぜひご活用ください。

  • 適切な大規模修繕を行うことによってマンションの長寿命化が図れ、価値も維持できる。
  • できるだけ早いうちにしっかりと修繕しないと、劣化のスピードが増し、20年後、30年後に多額の出費もあり得る。修繕積立金が不足して一時徴収金が100万円を超えるケースもある。
  • 修繕が実施されていないマンションは、資産価値が低くなる。売るとき、貸すときに避けられたり、金額が下がってしまうケースもある。

定例会では、マンションの傷み具合を確認することも重要です。委員全員でマンションを目視しながら回り、建物の状況を共有します。屋上など、普段立ち入らない場所を見てみると、思いのほか劣化が進んでいるもの。自分たちの住むマンションが今どんな状態にあるのかを知ることが重要です。過去のメンテナンス記録が残っているようなら、その状況も現場と照らし合わせて確認しておきましょう。

運営段階

定例会の頻度、形式、一般的な議題

定例会を開催する頻度は、各マンションの状況によってさまざまですが、一般的には月1回程度、工事前後や工事中は2週間に1回程度、といったパターンが多いようです。
理事会との情報共有は欠かせないため、理事から1名以上出席してもらうことをルールにするといいでしょう。
そのほか進捗状況によってコンサルタント会社や施工会社の出席を求めます。議題はその時々の進捗状況の確認、広報のやり方の確認、クレーム状況とその対応の検討などがメインとなります。

理事会との業務/責任分担、および付き合い方

修繕委員会はあくまでも理事会の諮問機関という位置づけです。会社組織とは違って、立場上の上下関係はないのですが、だからこそ「大規模修繕を一緒に進めていく仲間」としての関係づくりと、それぞれの役割の線引きが大事になります。
定例会に出席してもらうほか、施工会社選定などの重要な決定を行う際は、「最終的な決定は理事会の責任で行う」ということを念頭に、委員会はプランや選択肢の提示、そのメリットやデメリットの説明に徹するとよいでしょう。

活動内容の広報

広報活動は大規模修繕の重要性を組合員に理解してもらうためのもっとも有効な手段の一つです。
アンケートの実施といった居住者自身へ協力を依頼するときや、コンサルタント会社の決定など段階が一歩進んだときは、必ず大規模修繕の意義を含めて広報するようにしましょう。

時期ごとの主要議題イメージ
時期ごとの主要議題イメージ
運営におけるありがちなトラブルとその予防策/対処策
仕事の都合で活動できない委員が発生
「あの人最近定例会の出席率が悪いな」となってくると、全体のやる気に影響が生じます。そうなる前に必ず委員長へ相談するように決まりを作っておきましょう。
家庭や仕事、健康上の都合などでどうしても活動を続けることができないメンバーが発生した場合は、必要に応じて委員を再募集して欠員を補充します。
再募集を行う際は委員会を結成したときと同様、適任者がいないかを検討し、事前に声をかけておく方法もあります。
理事会との意見の対立が多発
大規模修繕に関するすべての決定権はあくまで理事会にあります。例えば、委員会が工事の実施内容を決定するといった本来の役割を飛び越えた活動をしてしまうと両組織の対立の原因になり得ます。委員全員が理事会の諮問機関であることを徹底して理解することが必要です。
委員の間でモチベーション(やる気)の差が出てきた
仕事や家庭を持つ身で委員の仕事との両立は大変ですが、自分たちの取り組みが次第に形を成し、マンション全体にとってのよりよいことが実現されていく過程を間近で実感できるのは委員を務める醍醐味といえます。その活動が、12年周期の修繕を15年、16年周期というように工事のロングスパン化や経費の節約につながります。
また、活動を見ている居住者から「いつもありがとう」と声をかけられることもあるでしょう。委員を務める人のなかには、その言葉でがんばれるという人もいます。
マンションの快適な将来のため、委員活動は非常に重要です。委員の全員がそのことを忘れないように委員長は普段から十分気を配り、モチベーションの維持に努めましょう。

SUNシリーズ一覧

  • ISSUE 01 大規模修繕を知る
  • ISSUE 02 修繕委員のABC
  • ISSUE 03 パートナー選びの基礎知識
  • ISSUE 04 コンサル導入の手引き
  • ISSUE 05 修繕計画の予習帳
  • ISSUE 06 施工会社の選び方